2017年7月7日金曜日

物乞いをする人びと

夜市でも朝市でも、人が多いところは日本ではほとんど見なくなった物乞いがいる。
ある日の基隆の觀光夜市。身体障害者の男性が物乞いをしていた。
年齢は30歳前くらい。足が不自由なようで、自作と思われるキャスター付きの小さな台車に乗っている。滑舌もはっきりしないようだ。
何を言っているのか聞き取れないのだけれど、置かれた小鉢がすべてを物語っている。



麻痺も少しあるのだろう。言っていることがはっきり聞き取れないが、何かをしきりに話している。
すると、急に黙ったかと思うと、袋からペットボトルを取り出した。キャップを開ける。とても集中しているようで、口からは舌が出ている。
無事に開け終えると、次はズボンのジッパーを下ろしてそれを引っ張り出して、おもむろに小用を足し始めた。
人々が行き交う中、すぐそばの小吃のお店に並んでいて手持ち無沙汰だった私。ふと目をあげると、往来を挟んだちょうど真向かいで親に手を繋がれて何かを待っていた少女も同じようにその一部始終を見ていた。
っていうか、ずっと何かをしゃべりっぱなしだったから、喉を潤す目的でペットボトルを出したんだろうと思ったのよ。
まさか、それにおしっこするなんて思わないじゃない。

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いまはもう取り壊されてしまったけれど、かつて台北駅前には歩道橋がかかっていた。
台鐵の台北駅と新光三越側を繋ぐ歩道橋だ。利用者の数は相当なものだったろうと思う。通勤時間帯なんかはすれ違うのも困難な混雑ぶりだった。
その歩道橋のど真ん中。ぽっかりと人波が割れる場所がある。
身体障害者の物乞いが真ん中に陣取っているからだ。
地面に腹ばいになって(足も手もほとんどない)、首をもたげて頭をずっと上下させている。お辞儀のつもりなのだろう。まともな職に就けず、慈悲にすがるしかないのかもしれない。

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先日、タラップを這って登らされたと抗議した車椅子の男性の記事が炎上していた。
記事を読ませていただいた。移動が不便だからと、飛行機の座席にいながらにして小を足すことも多々あったという。
これを読んで、上記のエピソードを思い出した。
「文句を言われなかったから、問題ないと判断した」という意味のことが書かれてあったが、文句を言われない=文句がないのとは違う。
夜市で私の真向かいにいた少女は、「ねぇ見て!あのおじさん、おちんちんとりだして、ペットボトルにおしっこしてるよ!」と両親に言っただろうか。
それとも、自尊心のなんたるかを理解して、誰にも何も言わずにいただろうか。

台湾では、身体障害者も普通に生活している。
「普通に」という言い方は少しおかしいかもしれないけれど、日本ではあまり接触のない身体障害者が、本当にごくごく身近にいて、健常者と同じように過ごしている。
身体障害者向けのスクーターもいたるところで見かける。
あまりに身近にいるので、最初の頃こそ少しカルチャーショックを受けていたが、いつの間にかそれが当たり前になった。そういう状態のほうこそ「普通」なのだろうと思う。


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身障者
ㄕㄣ ㄓㄤˋㄓㄜˇ


身体障害者。

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